不思議な出来事・・・

僕と彼女が乗った車は、細く曲がりくねった道登りきり、墓地の入り口にたどり着いた。
止まっている車はない。
いくらお盆が近いとはいえ、真夏の真っ昼間にお墓参りに来る人はいないのだろう。

その墓地は山の斜面を切り開くようにして、つくられている。
墓石の方からは見下ろすように海が見えるようになっているのだ。

車を降りて墓地を見上げると、ところどころにヤミユリが咲いているのが見える。
風もなく、聞こえてくるのは蝉の鳴き声だけだ。

「じゃ、始めようか」

彼女の両親のお墓参り。
お墓参りといっても、1年振りなので、手を合わせる前に掃除をするのだ。
車から掃除の道具を手に取り、墓地に続く上り道に足を踏み入れる。
前に僕、後ろに彼女。
風もなく、太陽が背中に照りつける。
ほんの数メートル登ったその時。

「ちりん」

と、一振りの鈴の音。

「!・・・いまの聞こえた?」
「なに?何か聞こえた?」
「いま、鈴の音がしたでしょ?」
「鈴?え〜聞こえなかったよ〜」
「おかしいなぁ〜鈴の音がしたんだけどな」


周りを見渡したが人の姿はなく、風も止まったまま。
聞こえるのは、やはり、蝉の声だけ。
でも確かに聞こえたのだ。
はっきりと、真新しい鈴が鳴るような澄み切った音だった。

空耳だったかと思いつつ、掃除を始めた。
彼女がお墓の周りをキレイにするあいだ、ボクはお供え用に使っている器をまとめてバケツに入れ、少し離れたところにある、洗い場へ向かった。

大きな水音を立ててバケツに勢い良く水を注ぎながら、器を洗う。
暑いな〜と思ったその時。

「ちり〜ん」

(! 鈴!)
はっとして周りを見渡すが、人の気配は、ない。
あんなに大きな音をたてて水を流しているのに、今度はさっきよりも
ずっと、大きな音が、耳元で聞こえた。
まるで、早く気づいて・・・とでも言っているように・・・
わけが分からないまま、急いで洗い物を終わらせ、彼女の元へ戻る。

と。

「洗い物に行ってるときにね、上の方で鈴の音がしたんだけど・・・」
「ホント!?オレもさ、洗い物してたら、こんどはすぐ近くで鈴の音がしたんだよ。でも、鳴った方向がちがうね」
「でもさ、鳴ったのは同じタイミングだと思う。だって、上の方で聞こえたときに洗い場の方見たら、なんか、キョロキョロ回り見てたもの」
「不思議だなぁ。最初にオレが聞いたのもやっぱり鈴だったんだよ。もしかして、お父さんとお母さんが鳴らしたのかな」
「そうかもね。良く来たねって言ってくれてるのかもね」

それからお墓を後にするまでの間に鈴の音が聞こえる事はなかった。
ぞっとする感じではなくて、気持ちがキュッて引き締まるような鈴の音。
一体、何だったんだろう。
真夏の昼の夢・・・

以上、今月初めに出掛けた奥様代官様の実家のお墓で起きた
不思議な出来事でした。

Take It Easy!
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by alohaheaven | 2006-08-27 01:35 | 旅行